イスラエルの民は、好意的に受け入れられエジプトに定住するようになりました。しかし、政権が変わり、奴隷化が進みました。そこで、【主】は、モーセをリーダーに選び『出エジプト』させました。
その過程で、エジプトでの最後の災い『初子の死』を回避するために【主】からイスラエル人に示された『過越の祭(出エジプト12章)』こそが、イスラエルの民のみならず、全世界の人のために、重要な意味合いがあったのです。それは、女の子孫と言われるメシアであるイエス・キリストが十字架で犠牲になることのひな型だったからです。
【主】が、「イスラエルの民を出エジプト」させ、約束の地カナンに四十年かけて荒野を移動させたのは、イスラエルを『創造主である神【主】を真に礼拝する民』として聖別するためでした。そのために、幕屋がつくられ、レビ族が祭司として、礼拝を導く役割を与えたのです。幕屋の聖所と至聖所の間には分厚い隔ての幕(手巾ほどの厚み)がありました。これを超えられるのは、大祭司のみで、一年に一度、犠牲の動物の血を携えてくぐるしか方法がありませんでした。
ヨシュアの時代に、アブラハムに約束された土地「カナン」に入り定着します。士師の時代を経て、イスラエル統一王国時代となります。サウル王、ダビデ王、ソロモン王と続いた王政ですが、その後、南北に分裂王国となり、北王国はアッシリア捕囚となり離散します。南ユダ王国はバビロン捕囚された後、祖国に帰還したものの属国になるという歴史をたどりました。
(9)ローマ帝国の属国だったA.D.1年に、メシアであるイエス・キリストが誕生しました。これは、メシアを待望していた信仰者には朗報となりましたが、指導者や権力者には大きな憂いの種となりました。自分の地位を脅かされると感じたヘロデ王は、イスラエルの男児を抹殺したこともありました。
イエス・キリストは、100%神(第二位格)であり、100%人間(「罪」を取り除く子羊)であるという存在でした。もちろん系図はアブラハムからダビデを経由してヨセフ(養父)に至る(マタイ1章)ものと、母マリアからダビデ、アブラハムを経由してアダムに至る(ルカ3章)ものがあります。それは、メシア預言で示されたものを裏付けるために重要でした。
また、イエス・キリストは、ご自身がメシアであることを示すために、奇跡を行われました。悪魔(サタン)に試みられ、律法学者には詰め寄られました。それでも、律法を守り、罪を犯しませんでした。その義人が『「罪」を除く神の子羊』として十字架に架けられて死んだ時に、全人類の「罪」の贖いが完結し、神殿の聖所と至聖所の隔ての幕が上から下へ裂かれました。そして、葬られ、三日目に復活されたのです。
それは、隔ての幕が裂かれたことにより律法の時代が完了し、『主イエス・キリストの御名』によって、『【主】と人間が交流ができる新約時代』の幕が開けたのです。