ゲド戦記の翻訳者である清水眞砂子さんの「あいまいさを引きうけて」の中に記されてあったフレーズ(タイトル)が印象に残っています。
それは、幼稚園の片隅での出来事だったそうです。
子ども達が遊ぶのを目で追って楽しんでいた時のこと
「ねえ、ボクをうけとって!!」
小屋の上で、男の子がひとり、すぐにも飛びおりようと身構えています。
「よし、きた。」 私は駆け寄って脚を踏んばって構えました。
男の子は、若くもない私の胸にぽーんと飛び込んできました。
(よくもまあ、こんな私を信用してくれること!)
男の子は、私の腕からとび出すと、仲間のいる方へ駆けていきました。
男の子は、その時に受け止めてくれそうな人を探していました。
ちょうどそこに、若くもないと自称する清水さんがいらっしゃったのですね。
そして、受け止めてもらって、すぐ仲間のいる方に離れていった。
この光景は、医療やカウンセリングなどでも同じかも知れないと感じました。
少年でなくても、老若男女誰でも、時には、ほんの少しだけでも、受け止めて欲しいと感じることがあるのですね。
ですから、ニーズがあるのです。
しかし、いくら気に入ったカウンセラーであっても、ずっとリピートするのは希ですね。
そうなれば、クライエントへの自立を阻害している要素の懸念もしなければなりません。
親子でも、カウンセラーとクライエントの関係でも、適度な距離感、関わり方をいつも調節していく必要性があるのですね。