『人間の人間たる価値は、敗北に直面していかにふるまうかにかかっている。敗北とは、決して屈服ではないのだ。 アーネスト・ヘミングウェイ』
「老人と海」や「武器よさらば」で知られるアーネスト・ヘミングウェイです。
1930年代には、スペインの内戦にも関わるような行動派の作家という一面もあります。
このフレーズは、それに関わった経験を元に書かれたと伝えられています。
自分の前に、この勝負はどうやら敗北らしいと理解せざるを得ない局面が、人生に一度や二度は訪れることでしょう。
その様な時の心構えを問われているようです。
人生の非情は、「敗北は死を意味する」というケースです。
時には、いのちを含めたすべてをかけて勝負する時もあるでしょうね。
しかし、このフレーズでは、敗北は負けを認めること、というニュアンスを感じます。
それが「屈服ではない」という部分で感じます。 【屈服…屈み伏すこと】
いのちをとられないから負けを認めると言うことさえも、人間はプライドが邪魔をして、できないことがあります。
周囲の人は、戦況の推移を見守り、勝敗の行方を分かっていれば、なおさら、プライドだけで、負けを認められない姿をどのように感じるのでしょうかね。
将棋や囲碁のように、潔く「負けました」と言えない、何かがあるのでしょうね。
「勝ったつもり」でいるのも惨めですが、「負けを認めたくない」ままいるのも、自分も周囲も惨めに感じることでしょう。
その状態であれば、区切りをつけることが難しいですから、次に進めない膠着状態になってしまう可能性もありますね。
誰がために鐘は鳴る 新潮社
『誰がために鐘は鳴る』(たがためにかねはなる、For Whom the Bell Tolls)は、アーネスト・ヘミングウェイの長編小説。
スペイン内戦を舞台とし、ロバート・ジョーダンとマリアの恋を描く。題名はジョン・ダンの説教の一節を引用している。1939年3月にこの作品を書き始め、翌1940年に発表された。
アーネスト・ヘミングウェイ(1899-1961)シカゴ近郊生れ。1918年第1次大戦に赤十字要員として参加、負傷する。1921年より1928年までパリに住み、『われらの時代』『日はまた昇る』『男だけの世界』などを刊行。その後『武器よさらば』、短編「キリマンジャロの雪」などを発表。スペイン内戦、第2次大戦にも従軍記者として参加。1952年『老人と海』を発表、ピューリッツア賞を受賞。1954年、ノーベル文学賞を受賞。1961年、猟銃で自裁。