『すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。真実というものはそういうものなのだ。往々にして馬鹿みたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。 ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』』
「本当の戦争の話をしよう」は、人を殺すということ、失った戦友、帰還の後の日々――ヴェトナム戦争で若者が見たものとは? 胸の内に「戦争」を抱えたすべての人に贈る真実の物語。鮮烈な短篇作品二十二篇収録。と紹介され、ベトナム戦争に従軍した著者のリアルな体験を綴っています。
そのような時代に巻き込まれたティム・オブライエンのテーマは一貫してベトナム戦争です。
彼が、聞いたことと、目にした現実に大きなギャップがあったという証言です。
時代は、戦争の教訓を得て、より平和に、より快適に進んでいるというのは、現実とは違うと感じています。
人間の大半は、過去の教訓を生かせないという悲しい現状があります。
刹那的に快楽を得る方法が増えていて、そこにハマってしまうという仕掛けは見事です。
また、まともな政治が機能していないし、家庭は、すでに崩壊されていると言ったイメージです。
まるで、この地球が狂気に支配されているようです。
何が真実なのか? 見分けるのが、ますます、難しくなっているようにも感じています。
『眉に唾をつける』というニュアンスが使われています。
これは、コトバンクによれば「狐や狸などにだまされないように眉に唾をつける。 転じて人から欺かれないように用心する。 できすぎていると思われる話を疑う。」という意味です。
あまりにも、できすぎている話を流すメディアにも要注意だと聞こえます。
特殊詐欺が横行する世の中ですから、少し、警戒心を強め、情報のクロスチェックを心がけたいと考えています。何が正しいか分からない時代に、自分を守ることは、非常に難しいと考えています。
ウィリアム・ティモシー・"ティム"・オブライエン(William Timothy "Tim" O'Brien, 1946年10月1日 - )は、アメリカの小説家。
人物
ミネソタ州オースティン生まれ。1968年にマカレスター大学政治学部を卒業後、徴兵で陸軍に入隊しベトナムに送られ1969年から1970年にかけて歩兵として戦闘に参加した。所属した第23歩兵師団の一部は、彼がベトナムに到着する直前にソンミ村虐殺事件を引き起こしており、作品中には事件への言及がみられる。
兵役が完了した後、彼はハーバード大学大学院で政治学を学び、『ワシントン・ポスト』で働いた。1973年に処女作となる『僕が戦場で死んだら』を刊行、1979年には『カチアートを追跡して』で全米図書賞を受賞した。
第一作目から一貫してベトナム戦争をテーマにしている。作品はオーソドックスな手法を用いて戦場の風景を描いた初期の短編から、逃亡兵たちが徒歩でパリを目指すマジックリアリズム的な全米図書賞受賞作、最近ではベトナム戦争とは直接関係が無いように見える作品『Tomcat in Love』と多岐にわたる。核時代の恐怖に取り憑かれた男を描く「ニュークリア・エイジ」は壮大な失敗作という評価を受けた。その後離婚を経て1995年に再婚して、テキサス州オースティンに移り、テキサス州立大学で教鞭をとる。