『想像が欺く時は、それは狂気となる。想像がそれ自身の想像的なる事を自認している間は、それは一つの貴い能力であるが、その自意識がなくなれば、それは発狂である。 ジョン・ラスキン 「建築の七灯』(岩波書店)』
ニュアンスとしては、「芸術は爆発だby岡本太郎」というイメージを感じます。これは、狂気という言葉に引っぱられたのかも知れませんね。
人間は、自分の中に何らかのイメージをもちます。
それは、いつも変化し続けています。
造形の中でも、建築は特殊だと感じています。建築家は、予定の場所に合うように、設計をし、工事の管理をします。そして、注文主の意向に沿うように最大限の努力をするのです。
ラスキンは建築に対する基本的な考え方を7つの章に分け、建築思想書を著しています。
「犠牲」「真実」「力」「美」「生命」「記憶」「服従」にイメージについての思想が記されています。
「7」は完全数です。彼の建築思想を余すところなく記した目に、精力を注いだのでしょうね。
そこには、「神」の存在と「信仰」の体現という表現も含まれています。
つまり、その範囲から逸脱する事について「狂気」と位置づけたのかも知れません。
また「自意識」にも言及しています。
彼によると、そこからはみ出したら「発狂」の領域であると位置づけています。
表現は非常に難しいものです。
「狂気」でも「発狂」でもない冷静でありながら、周囲があっと驚くデザインを見てみたいですね。
ジョン・ラスキン(John Ruskin, 1819年2月8日 - 1900年1月20日)は、19世紀イギリス・ヴィクトリア時代を代表する評論家・美術評論家である。同時に芸術家のパトロンであり、設計製図や水彩画をこなし、社会思想家であり、篤志家であった。ターナーやラファエル前派と交友を持ち、『近代画家論』を著した。また中世のゴシック美術を賛美する『建築の七燈』『ヴェニスの石』等を執筆した。
『建築の七灯』(The Seven Lamps of Architecture)は、イギリスの美術評論家ジョン・ラスキンによって1849年に書かれた建築思想書である。ラスキンの建築に対する基本的な考え方を7つの章に分けて解説している。
概要 7つの灯とは以下のとおり。
1.犠牲の灯 - 建築は神に対する人間の愛と服従を目に見える形で示した捧げものでなくてはならない。
2.真実の灯 - 素材も構造も誠実でなければならない。
3.力の灯 - 神から与えられた力を行使し、自然の崇高さと同調するような大きさがなくてはならない。
4.美の灯 - 神が創られた完璧な美である自然に倣った装飾をしなくてはならない。
5.生命の灯 - 人間の手で造られた命の建築でなければならない。
6.記憶の灯 - 時代に評価され、歴史に刻まれるようなものでなくてはならない。
7.服従の灯 - (英国の)国家や文化、信仰を体現するものでなくてはならない。