「菌はイヤ!」という意識を受け付けられている時代です。
その背景に、「相手を殺すか、自分が殺されるか」というゲームをさせられている人間の現状があります。
日本の昭和の時代、特に、戦後の復興期は、経済も右肩上がりで、多くの人が経済的な分配を受けられる状態でした。
でも、バブルが弾けて、新自由主義が広まり、弱肉強食の時代が表面化しました。
ある程度、共存可能だった世の中が、サバイバルゲームへと変化させられたのです。
その中で、「菌を殺せ」という除菌製品が跋扈しているのです。
また、アルコール消毒、除菌石けんなども、あちらこちらにあります。
確かに、医療現場の手術室の入口には、滅菌の徹底があるのは当たり前の事です。
しかし、一般生活には滅菌による弊害もあるのです。
人間の身体は、常在菌で守られています。
除菌するという事は、この常在菌の膜を破り、放棄することに繋がると指摘されています。
この常在菌が、人間を覆うバリアの機能を果たしていたと言うのです。
ですから、水で手を洗うことで、ある程度の衛生状態は保たれるようです。
ただし、不衛生はよくありません。汚部屋と言われる環境、また、それを通り越して、ごみ屋敷と言われる環境は最悪です。それは、人間の身体だけではなく、精神や心までも蝕みます。そもそも、そこに至る過程の中で、何らかのバランスが変わったと言う順序でしょう。
顔を洗うとか、手を洗うとか、入浴するか、温浴をするか、など、様々なライフスタイルがあります。
どれを選ぶかは、それぞれの自由です。
でも、自分にとって、ある程度の衛生状態が保てる選択は、必要不可欠でしょう。
炎症や外傷ができた時に、抗生物質を処方されることがあります。
それが、有用な部分は、傷の治りを早くするというモノです。しかし、人間の腸の中で活躍している有用菌までも、やっつけてしまうのです。
すると、腸内の環境が変わり、免疫系に影響が出てくるのです。
除菌も必要な局面があります。
でも、免疫系を維持したり、高めるためには、抗生物質や除菌剤をどのように使うのかについての「ちょうどいい加減」が大切だと私は考えています。
共存共栄は、人間には、難しいチャレンジなのかも知れませんね。