『知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。 ヘルマン・ヘッセ』
今は激減したと言われる職人の世界ですが、昭和の頃は、師匠からは「技術は盗むモノだ」と言われた時代でした。
道具を盗めば窃盗ですから、そういうことではないですね。
その真意は、「仕事をそばでじっくり観察していて、自分なりに会得していくようにしなさい」というコトなのですね。
作業の手順通りに進めて行けば、同じようにできるとは限らない職人の熟練の業は、一朝一夕には再現できないのです。
冒頭のフレーズは、それと似ているように感じます。
職人の業を支えているのは、知識はもちろんですが、知恵の部分がキモです。
知識は、どこかで調べたりして、記憶できるものです。
しかし、知恵というモノは、知識を活用しながら、体験、経験を積み上げていく、気の遠くなるような根気が必要な作業で、極めきれないほどの深さだと想像します。
知恵を練り上げて行くには、心持ちが大切で、試行錯誤の繰り返しにも、投げ出すことなく自分の課題に向き合う忍耐力が求められるのですね。
その奥深さは、突き詰めれば突き詰めるほど深くなるのでしょうね。
職人仕事でなくても、家事の作業、料理などは特に、同じような素材を使っても人によって仕上がりが違いますから不思議ですね。